挑戦!スマホで体験する「ドップラー効果」の不思議な音世界

桑子研
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音の不思議を探究!自宅で楽しむドップラー効果実験ガイド

今回は、お子さんと一緒に科学の面白さを体感できる、とっておきの実験をご紹介します。テーマは、身の回りの音の不思議「ドップラー効果」です。

救急車が遠くから近づいてくると「ピーポーピーポー」と音がだんだん高くなり、目の前を通り過ぎると今度は音が低くなって遠ざかっていく…そんな経験はありませんか? この誰もが一度は耳にしたことがある現象こそ、ドップラー効果なのです。

この現象は、音を出しているもの(音源)が動くことで、聞こえてくる音の高さが変わる現象です。音は「波」として空気中を伝わります。音源が近づいてくるときは、音の波の間隔が狭まり(波長が短くなり)、遠ざかるときは波の間隔が広がります(波長が長くなります)。人間の耳は、波長が短くなると「高い音」、長くなると「低い音」として認識するのです。

言葉だけでは少し難しいかもしれませんね。まずは、この現象がよくわかる動画で、耳を澄まして聞いてみてください。

いかがでしたか? 救急車が通り過ぎるとき、サイレンの音がはっきりと変化するのが分かりますね。

こちらのフラッシュを御覧ください(スマホでは見れないので、ぜひPCで御覧くださいね)

赤の点が救急車だと思って下さい。救急車が止まっているときには、音と音の間がどこからみても等間隔です。

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しかし救急車が右に動き始めると、

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この現象は、実は高校物理で本格的に学ぶ内容ですが、感覚的に捉えることができれば、物理の面白さがぐっと増します。今回は、なんと「スマートフォン」を使って、このドップラー効果を自宅で簡単に体験できる方法をご紹介します! お子さんの理科への興味を引き出すきっかけとして、ぜひ試してみてください。

科学のレシピ:スマホでドップラー効果を体感!

ドップラー効果の実験には、専用の音叉(ドップラー効果説明用音叉)という教材も存在します。これは叩いて少し動かすだけで効果を実感できる優れものですが、非常に高価です。通常の音叉では、素早く振ってもドップラー効果はなかなか感じられません。これは、ドップラー効果を実感するためには、ある程度の高い周波数(Hz)の音が必要だからです。

そこで今回は、高周波数の音を簡単に出せるスマートフォンを活用します。

【用意するもの】

  • iPhone、または同様の機能を持つスマートフォン
  • iOSアプリ「トーンジェネレーター」(または、2000Hzの音を出せるアプリ)
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【実験手順】

  1. 「トーンジェネレーター」アプリを起動し、周波数を2000Hzに設定して音を出します。キーンという高い音が聞こえるはずです。
  2. 音を出したままスマートフォンを手に持ち、誰かに正面に立ってもらいます。あなたはその場で、スマートフォンを前後にすばやく動かしてみてください。正面にいる人が音程の変化を感じられるか、確認してみましょう。

参考 理科室などで、もし回転テーブルがあれば、その上にスマートフォンを乗せて回してみるのもおすすめです。より分かりやすく、ドップラー効果の「音程の上がり下がり」を連続して観察できます。

【実験結果】

いかがでしたか?

スマートフォンがあなたに近づくときには音が高く、遠ざかるときには音が低く聞こえるはずです。

また、回転テーブルに乗せると、音がグルグルと回りながら音程が変化する様子が、まるで宇宙の不思議な音のようです。

この実験は非常にシンプルですが、音の波長の変化を直感的に理解するのに役立ちます。ぜひ、お子さんと一緒に「なんで音が変わるんだろう?」と話し合いながら、科学の楽しさを体験してみてください。

この実験は、高校物理復習帳で紹介しました。特設ページはこちらです。合わせて御覧ください

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